大手ビールメーカー2025年事業方針まとめ
- こぐねえ
- 1月20日
- 読了時間: 7分
更新日:1月21日
毎年年明けに行われる大手ビールメーカーの事業方針説明会。2025年はサントリーが2024年末に発表するという例年とは異なる形となりました。1月中旬に各社の動きが発表されましたので、簡単にですがまとめていきたいと思います。
キリンビール
2024年の振り返り
ビール類計は1億1,180万箱で、ビールカテゴリーでは、主力商品の「キリン一番搾り生ビール」ブランドがリニューアル効果により前年プラスで着地するとともに、4月に発売した17年ぶりのスタンダードビール新ブランド「キリンビール 晴れ風」が目標比約3割増と市場をけん引。
しかし、2024年販売実績は-1.9%という結果に。ブランド別などの細かい分類はされていませんが、「キリン一番搾り生ビール」「キリンビール晴れ風」は好調だったところをみると、「キリンラガービール」「SPRINGVALLEY」が伸び悩んだと予想されます。
2025年の事業方針
2025年は、引き続き「全員でお客様価値の創造にチャレンジ」をテーマに、「お酒の未来を創る両面のアクション」、「お客様価値の創造に向けたブランド育成」を軸とした事業戦略で取り組み、飲み手に価値を届けることで、社会的価値と経済的価値を両立し、持続可能な事業の発展を実現していくと言います。
【お酒の未来を創る両面のアクション】
「お酒の未来を創る両面の取り組み」を通じて、つながるよろこびを届け続けることにチャレンジしていくとのこと。
1つ目はキリンビールの各ブランドを人と人、人と社会をつなげるためのアクションと紐づけて、新たに「つながるよろこびを、未来へ」のスローガンを設定。年間を通じてコミュニケーションすることで、お酒のもつポジティブな価値を感じていただく取り組みを実行していきます。
2つ目は酒類事業を営む企業として、アルコールの有害摂取根絶に向けて取り組むとともに、節度ある飲酒文化の醸成とこころ豊かな社会の実現を目指して、未来に向けた責任を果たしていきます。
【お客様価値の創造に向けたブランド育成】
飲み手や社会の変化・ニーズを捉え、キリンビールのもつブランドを育成し、人と社会につながるよろこびを提供することで、新しい飲み手価値の創造をしながら、お酒の未来を創るイノベーション創出にチャレンジしていきます。
キリンビールは、商品ブランドを通じて新しいお酒の価値をつくっていくことを意識しているようですね。すぐに結果が出るものではないと思います。根気強くお酒の明るい未来を切り開いていけるのでしょうか。今後の動きに注目ですね。
サントリー
サントリーにつきましては、以前ブログで紹介しました。再投稿と言う形で載せたいと思います。
2025年のサントリーは、“ビールカテゴリーとエコノミーカテゴリーの両輪”で活動を推進していくとのこと。「サントリー生ビール」「金麦」「ザ・プレミアム・モルツ」「パーフェクトサントリービール」の主要4ブランドを一斉にリニューアルして、飲み手の多様なニーズに応えていくとあります。
サントリー生ビール
中期目標である販売数量1,000万ケースを目指し、「サントリー生ビール」の魅力をさらに向上させるべく、中味・パッケージを刷新。
中味は、ダイヤモンド麦芽の特長をこれまで以上に引き出す仕込条件を見出すことで、“グッとくる飲みごたえと飲みやすさ”を進化。「生ビール」の味わいをさらに感じていただける、“カラダに沁みわたるようなうまさ”を目指す。「飲食店で飲むおいしい生ビール」をより思い浮かべられる「生」の訴求をさらに強調。
金麦
「金麦」「同〈糖質75%オフ〉」「同〈ザ・ラガー〉」の中味・パッケージを刷新して、“日常的に家で飲むのに一番ふさわしいビール類”を目指す。
2025年4月8日(火)より“サワー”のように飲みやすく、爽やかな味わいが特長の「金麦〈晩酌サワー〉」を通年発売。
既存ブランドの強化および新商品を発売することで、飲み手のエコノミーカテゴリー需要に応えることを目指す。
ザ・プレミアム・モルツ
「ザ・プレミアム・モルツ」ブランドの魅力をより一層訴求するべく、「ザ・プレミアム・モルツ」「同 〈ジャパニーズエール〉香るエール」「同 マスターズドリーム」のパッケージおよびコミュニケーションを刷新。
パーフェクトサントリービール
同商品で、近年の「健康意識の高まり」による機能系ビールカテゴリーのニーズに、本格ビールのおいしさと機能を両立に応えていく
力強い飲みごたえがさらに向上した中味、独創的なパッケージに刷新して、引き続き食事との相性の良さを伝えて、さらなるファン拡大を図る。
2025年のサントリーは、主力商品をリニューアルが中心ですね。特に力を入れているのは「サントリー生ビール」で、ビールならではの魅力を伝える中味になっていくようですね。
一方、「ザ・プレミアム・モルツ」は、パッケージの変更が主体。こちらはブランド力を高めていくことが中心となる感じです。ちなみにリニューアルしたパッケージデザインの方が好きですね。
「金麦」は、いよいよ「金麦〈晩酌サワー〉」が通年発売です。個人的には良かったので、いつでも飲めるようになるのは大歓迎です。
なお、2024年との比較はありませんでした。これからは公開はしない方針になったのかもしれません。
サッポロビール
2024年の振り返り
酒税税率改正の影響もあり、ビールカテゴリーが伸長した1年。また、消費や価値観の多様化が進み、嗜好品としての「お酒」の在り方についても引き続き変化が生じていると捉えています。
ビールカテゴリーは、ビールに対する「憧れ」の創出をテーマに掲げ、日本のビール市場活性化に取り組んだ結果、売上は前年比107%となりました。具体的には、「サッポロ生ビール黒ラベル」ブランドは110.6%、「ヱビスビール」ブランドが99.8%、発泡酒(新ジャンルを含む)は81.2%です。また、「サッポロラガービール」瓶が前年比121%と大幅に伸長し、北海道限定ビール「サッポロ クラシック」は過去最高売上を達成したとあります。
「日本のビールの魅力を、さらに進化させる!」をテーマに市場活性化を牽引し、独自の「個性」・「物語」・「資産」をさらに強みに変えるマーケティングにより、次世代ビールユーザーのカイタクを目指していくとのこと。
2025年のマーケティング戦略
嗜好品であるビールの魅力をさらに進化させていくため、“情質価値”の創造に挑戦。これは感情の質を高め人生を豊かにすることを意味しています。ブランドの姿勢を表現する広告を通じて飲み手の共感・共鳴・共創を創出し、体験の場を通じて偶発的な出会いと新たな気づきを醸成していくとしています。
また、飲み手との直接的なコミュニケーションがとれる新しい場をオンラインに構築して、体験を通した顧客価値探索の共創マーケティングを展開。“情質価値”を創造するマーケティングを通じて、約200万人の新規顧客拡大を狙うと言います。
ブランド別では「サッポロ生ビール黒ラベル」は、リアル体験イベント「THE PERFECT 黒ラベル WAGON」の全国開催や、東京・銀座に構える「サッポロ生ビール黒ラベル」のフラッグシップビヤバー「サッポロ生ビール黒ラベル THE BAR」のリニューアルを通じて、“情質価値”を創造を行っていきます。
「ヱビスビール」ではブランド体験拠点「YEBISU BREWERY TOKYO」において「たのしんでるから、世界は変えられる。」を体現するブランド共鳴者と新たなアクションを共創。第一弾は世界的漫画家の荒木飛呂彦氏とのコラボレーションを実施します。
「サッポロラガービール」「サッポロ クラシック」「サッポロ SORACHI1984」では、サッポロビール独自の「個性」・「物語」・「資産」を有する個性豊かなビールブランドにもより一層の磨きをかけるマーケティングを展開します。
2026年の酒税法改正に向けてビールに注力していることもあり、ビールブランドは好調の様子。逆に発泡酒は縮小傾向。発泡酒がなくなることはないと思いますが、今後もビールを伸ばしていく方向になるのでしょう。
アサヒビールについては1月20日の午前6時時点で発表はありませんでした。今後、公開されましたら追記したいと思います。
サントリーが前年比を公開しなかったので、全体の動向はわかりませんが、大きくマイナスになったということはない感じです。2026年10月の酒税法改正に向けて、どのメーカーもビールに注力していく流れは変わらないと思います。
そして、お酒へのネガティブなイメージを変えていく運動も盛んになっていくでしょう。「健康で楽しく酔う」世界をいかに構築できるのか。飲み手の意識が重要ではありますが、造って販売する側の責任は重くなっていきます。私も伝え手としてお酒が持つネガティブな面をきちんと伝えながら良い面を伝えていきたいと思います。
こちらPodcast番組「ビールに恋するRadio」でも配信しています。